Chap-28. Endeavour OS の試用

2020-10 初稿 2021-08 書き直し

2021-08 時点で、CUI サーバ状態にインストール出来ることに気がつきました(前は出来ませんでした)。このため書き直しです。


試す事柄
いつもどおり、チェックは以下の3つの視点で見ます。


Sec-1.インストール及び最初の設定
Sec-2.UNIX マシンっぽく管理できるか
Sec-2−2.CUI サーバにインストールした場合
Sec-3.Windows 代替として
Sec-4.Printer 設定
Sec-5.全般の印象
Sec-6.フォントの追加


Sec-1.インストール及び最初の設定

インストール
 インストーラは Calamares を使っています。GUI インストーラで使いやすい優秀なインストーラです。
各種 DE を選べるのも、良好です。
今回のチェックはまず GNOME を入れて試し、その後 Xfce で試しました。
なお、printer を使うつもりなら、インストールの時に cups 関連だけでなく HP の印刷ツールも選択してインストールするようにします。両方ないとプリンタが動かせません。
 また、DE を選ぶところですべてのチェックを外せば、CUI サーバ状態にインストール出来ます。2020-10 に試したときは全部のチェックを外すとインストールエラーになりました。今回(2021-08)試してみたら、うまくサーバ状態にインストールできるようになっています。改善されています。
CUI のサーバ状態に入れた場合は、個別(Sec-2-2. ) にまとめて書きます。以下では基本的に GUI 状態にインストールしたときの事を書きます。

補足:AMD athlon 3000G + 外付けグラボ(Geforce)で GNOME を入れると Xorg でしか動きません。
グラボを外して内蔵の GPU (Radeon) を使えば Wayland でも Xorg でも動きます。



最初の設定
--- 日本語入力(普通の方法)---
 GNOME での mozc の利用はあとの方に書きます。
 一般的に、GNOMEでは、まずフレームワークとして ibus 使ってるのを探します。みつかったのは ibus-kkc、ibus-anthy、ibus-skk の3つです。
ibus-kkc は前に CentOS で使って良い印象ではなかったです。変換効率がよくない。動作も一部不安定。
skk は使い方を知りません。なんだか、ネットの情報を見ているとタッチタイピングには全然対応できそうにありません。なので除外。
結果として残った anthy を使います。こっちは以前から Slackware で使っていて、悪い印象がありません。マアマアです。
例によって、設定変更して anthy を ATOK 風に使えるようにします。それは、Chap-27. Sec-6. に書いています。
なお、Xfce では fcitx-mozc が簡単に動きます。fcitx-mozc はキー割付をいじる必要がありません。なので使いやすい。


--- GNOME で fcitx-mozc を使う(変則的な方法) ---
 まず、「設定」ー「キーボード」(普通は、「設定」ー「地域と言語」)から入力システムの画面を出します。

001

上のような具合なら、anthy を削除して、下のようにします。

002

次に、fcitx のパッケージを入れます。

# pacman -S fcitx-mozc

次に $HOME/.bash_profile に以下の4行を書き加えます。

export GTK_IM_MODULE=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx
export DefaultIMModule=fcitx

以下、リブートすると ctrl + space で IM のオンオフが制御でき、GNOME + fcitx-mozc で日本語変換出来ます。
やや強引なやり方ですが、X 端末、Firefox、sylpheed、libreoffice で問題なく日本語入力出来ました。
なお、EndeavourOS では 「fcitx設定」を使って fcitx のアイコンを出すと、日本語変換するときの候補がカーソルの上に出てしまいました。(うちだけの現象かもしれませんが・・・)
なので、fcitx のアイコン表示は GNOME-extension を使いました。
まず、必要なものをインストール。

$ yay   gnome-shell-extension-kimpanel-git

リブート後に GNOME-extension を立ち上げると input method の表示有無を選択するところが現れますので、これをオンにします。
下のとおり。


ende-panel

これで fcitx のアイコン(「fcitx 設定」で表示させるのとは、少し違うが、マア似たようなヤツ)が現れます。
以下、IM のオンオフがこれを見ればわかるようになります。なお、IM オフのとき us とか表示が出ます。キーボードの種別を間違えてるようですが、実際には jp106 キーボードで動いていて問題は無いと思います。アイコンの表示だけが間違ってます。


fcitx-panel

左が fcitx のアイコンが出ているところ。右はX端末など立ち上げた状態。これが、IM オンにすると例の「あ」のマークになります。


一応、us マークを jp マークに変えます。fcitx-configtool を入れます。

# pacman -S fcitx-configtool

「Fcitx設定」を立ち上げて、「入力メソッド」でキーボードを英語から日本語に変えます。下のとおり。


fcitx-set

これで us マークが jp マークに変わります。




補足:GNOME で fcitx-mozc がうまく動き、日本語変換が出来、アイコンもJPで表示されるようになって以降の話です。
.bash_profile の中の DefaultIMModule を指定しているしている部分を以下のように直す方法もあります。

fcitx -d > /dev/null 2>&1

Athlon 3000G のマシンでは良かったのですが、リビングの Celeron ノート PC だと、このように直したほうが fcitx-mozc の動きがスムースです。
DefaultIMModule を指定するやり方だと、ノート PC では何故か動きがギクシャクすることがありました。

  


 Archwiki にはautostart とかってやり方が載っているようです。結構面倒そうです。fcitx-mozc を動かすだけなら、多分こっちのやり方のほうが簡単だと思います。
 アイコンを出すのは、ややこしかったです。今回はこれでうまく行きましたが、今後もずっとこのやり方で行けるかどうか、わかりません、汗。



*GUIでのパッケージインストーラ
 デフォルトではありません。存在しません!
しかし、幸いなことに AUR にあります。yay ってコマンドも使えるので AUR から pamac がインストールできます。これはあったほうが便利ですね。

$ yay pamac

とするだけ。選択は1を選ぶだけで良さそうです。それで以下のような、見慣れた pamac が使えるようになります。

pamac



 GUIのPamacは開発が止まっているとか、新しい仕組みに対応できていないとか、ネットでちらっと見かけました。
このため、上記のようにPamacをインストールして使い続けると、具合が悪くなるかもしれません。申し訳ないですが Endeavour を常用していないので、詳しくは調べていません。(2021-06-18)



Sec-2.UNIX マシンっぽく管理できるか

 チャプタを起こしてしまいました。が、書くことがありません。UNIX 風の管理のこと、各種ソフトのコンパイル・インストールのこと、全て Manjaro と特に変わりません。省略です。興味のある方は Manjaro のチャプタを見てください。全然、問題は無いです。

サーバソフトや言語処理系を自分でコンパイルするときに必要なパッケージが、OSインストールの時期によって入っていたり、入っていなかったりします。このディストリの人達って、結構気まぐれらしい、笑。
しかし、その都度工夫して自分でパッケージを入れればすみます。Arch 系だと大抵は apr、apr-util、pcre あたりです。
2021-08 時点で GUI インストールすると、apache のコンパイルに pcre パッケージが欠落。なので、 # pacman -S pcre やる必要がありました。
また、guile のコンパイルに必要な pkgconf が入っていませんでした。自分でコンパイルするなら、これもインストールします。



Sec-2−2.CUIサーバにインストールした場合

 2020-10 時点ではサーバインストールはできませんでした。DE 選択の画面で全部のチェックを外すと、インストールエラーとなりました。
今回、2021-08 時点ではインストール時の DE 選択画面で全部のチェックを外すと、サーバ状態にインストール出来ます。
これって、果たしてディストリやっている人達が「全部チェックを外したらサーバ状態になるようにしよう」と意図しているのか、疑問です。分かりません。
たまたま、今の時点ではサーバインストールが出来ても、また一年くらい経過すると、そういうインストールはできなくなるかもしれません。
なので、ここでは「まさにお試しっぽく」サーバ状態もチェックしました。
なお、CUIのサーバ状態にインストールすると df コマンドでみて 2GB 少々でした。ホントに X11 も無い CUI 状態ですね。

 ちなみに、実際に書くことはほとんどありません。基本的に GUI にインストールしたときと変わりません。唯一、最初は NetworkManager すら入っていないので、Chap-19. Sec-2. に書いたように ip コマンドでネットワーク有効化を図ります。その後、pacman を使って NetworkManager を入れれば、後は普通の管理です。nmcli コマンドもそれで使えるようになります。
それ以外のことについて、特に書くことはありません。CUI に入れても調子良く動きます。十分サーバで使えそうな安定感です。

なお、apache のコンパイルに apr、apr-util、pcre パッケージを入れる必要がありました。
また、Guile のコンパイルには pkgconf を入れる必要がありました。



Sec-3.Windows 代替として

 デスクトップ利用で各種ソフトが使えるかってことですが、ここも基本的に Manjaro と変わりません。良好だと思います。記述は省略です。




Sec-4.Printer 設定

 スキャナ利用は Manjaro と変わりません。
プリンタの設定が少しだけ違います。

プリンタを使うに際して、まず

# pacman -S postfix

とする必要があります。このパッケージが入ってないとプリンタが動きません。
なぜか、自分で Postfix をコンパイル・インストールしてもダメです。パッケージがとにかく必要です。
なお、この postfix は運用しなくても良いです。止めたままでかまいません。インストールしてあることが必要なだけです。

次に、プリンタドライバをコンパイル・インストールするところと、上書きで Debian のドライバを入れるところは同じです。Manjaro とまったく同じ。



印刷設定するところが違います。
Endeav では DE 付属の印刷設定ツールではなく、cups web interface ってヤツを使います。
1)ブラウザで localhost:631/admin って入力するか、あるいは 2) HP の印刷設定ツールを使います。

HPのツールを立ち上げると以下の画面。真ん中の cups web interface をクリックします。

prn-01

以下の画面になります。ここで Printers の Add Printer をクリックします。

prin-02

エプソンのドライバやら、PPDファイルがすでにインストールしてあるので、ちゃんと PX-048A 機種が出てきます。これをクリックして Continue を押します。

prin-03

次の画面になります。ここではやることがなくて単に Continue クリックです。

prin-04

なんだか沢山出てきました。一番上の PX-048A をクリックした後、Add Printer を押します。

prin-05

これで終了、設定が出来ました。

prin-06

試しに、DE の印刷設定で見ると、登録されてます。オケです。

prin-07

確か、設定の途中でユーザIDとパスワードを入力する画面が出ます。普通に Linux のログインのIDとパスワードを入れるだけです。(root でなく、自分、ユーザ)

これで、wifi 経由のプリンタ Epson-PX-048A がプリンタとしてもスキャナとしても使えるようになります。調子良いです。


もしもプリンタがうまく動かないときは、cups、cups-browsed の両デーモンが動いているかどうか、確認してください。
まれに、cups-browsed が動いていないことがあります。




Sec-5.全般の印象

 例の3項目、(a)サーバ利用、(b)開発系やらネットワーク管理系、(c)Windows 代替利用、については十分に良好でした。個別のコメントは省略です。サーバ利用が図れそうで好印象です。

全体としての印象を書きます。
 Chap-26-2.でいうところのカテゴリー3(2の派生)です。このため、思いがけないセキュリティホール等が発見されたとしても、比較的早期に適切な対応が出来そうです。まずまずセキュアなディストリと言えます。

 次に、長所だとか特徴として感じたのは、いわゆる軽量級です。GNOME 利用でメモリー使用量が 600MB 弱。ずいぶんと少ないと思います。大抵のディストリは800MBとか、Redhat クローンだと 1GB くらいあります。
なので、Endeav をノートパソコン等、メモリに制約がある中で使うなら、それなりにメリットがあると思います。
ただし言葉が「軽量級」だからといって、動きが特に軽やかなわけではありません。速度、レスポンスでは Debian 等の他ディストリと差が無いと思います。

 悪い方では、プリンタの設定が Manjaro より大変です。パッケージとして postfix がどうしても必要だし、インストールする時期によってはプリンタが動かないです。2020-秋ならプリンタが動きましたが、2021-09 にやってみるとプリンタが動かせません。
自分がヘタレなことは棚に上げますが、プリンタ設定の不安定さは大きなマイナスです。

 仕立て具合は、Manjaro なんかより雑な印象です。なんとなく・・
例として適切かどうか分かりませんが、服をオーダーして、Manjaro は仕上がりを受け取るイメージ、EndeavourOS は仮縫いくらいの段階で受け取るイメージです。後は自分で縫ってください、とか、笑。

 更新が滞りなく順調にいくかどうか、長期的チェックはしていません。

 安定感としては(a)サーバ利用もできそうな感じでした。ただし、新しいパッケージを更新で次々に入れていくディストリ、すなわちリブートの回数が多いディストリです。そういうディストリがサーバ利用に適しているかどうかは、人により判断が分かれそうです、汗。
私は宅サバなのであまり気にしません。

 一部のパッケージがディストリ管理でなく、ユーザ団体の管理らしい件(Arch系に共通の事柄、AUR利用)については、これも人によって好意的に見るか批判的に見るか、判断が別れそうです。
ユーザ団体の管理だからとひとくくりにせず、個々の出来栄えで、個別判断するのが良いと思います。
私の受けた印象としては、Google-chrome Pamac は十分良好でした。ibus-mozc はイマイチでした。







Sec-6.フォントの追加

2021-07 追加
 このディストリをデフォルトで使い始めて最初に感じたことの一つに「フォントが綺麗じゃない」というのがあります。
英語で使っているときは感じませんが、日本語入力をしたり、ブラウザで日本語のサイトを見ると感じます。
これを解消するのに簡単な方法はフォントの追加です。
以前、Slackware のチャプタがあってフォント追加の方法を書いていましたが、よく考えたらチャプタを消してしまいました。
ちょうど良い機会なのでフォント追加について簡単にメモっておきます。


概ねポイントは以下のとおり。

簡単に書けばこれだけです。
IPA フォントはネットで検索すると割合と簡単にヒットします。そこからダウンロードします。私のは数年前に Slackware に入れるためにダウンロードしたものです。今回もそれを使いました。
ipam00303.zip、ipag00303.zip という2つのフォント、片方が明朝で片方がゴシックです。
unzip するとそれぞれ ipam.ttf、ipag.ttf ってファイルができます。これがTTFフォントのファイル本体なので、上記ディレクトリにコピーします。あとは # fc-cache -f ってするだけです。



フォントが入ったら、これを使う設定にします。やっているのは GNOME です。
gnome-tweaks からフォントをクリックすると次の画面です。

endeav-01

右の方にフォントを指定する箇所が4つあります。とりあえず、これを全部IPAフォントにしてみました。
リブートすると、確かに表示が綺麗になりました。次に Firefox です。フォントの箇所を開き、以下のようにしてみました。
(下3つがIPAフォント)
注:以下の画像では「ウェブページが指定したフォントを優先する」にチェックを入れていますが、実際にはチェックをはずしてます。

endeav-02

これで、Firefoxも表示が綺麗になりました。最後にX端末です。以下のようにしてみました。ipaフォントだと文字間が狭いので、広げています。(デフォルトは1.00です)

endeav-03

X端末も日本語表示が綺麗になりました。久しぶりにフォントインストールをやりました。




実際には EndeavourOS は使っていませんが、使うんだったらこんな風にフォントを変更したいと思います。
なお、前に書いたチャプタは以下に保存しています。今更見ても仕方ないと思いますが・・・
https://www.quinos.net/topics/topics.01.html