Chap-28. Endeavour OS の試用

試す事柄
私のいつものチェックは、以下の3つの視点で見ています。
しかしこのディストリは CUI インストールをサポートしていません。なので本チャプタでは b. c. の視点でチェックしてみます。


Sec-1.インストール及び最初の設定
Sec-2.UNIX マシンっぽく管理できるか
Sec-3.Windows 代替として
Sec-4.Printer 設定
Sec-5.全般の印象
Sec-6.フォントの追加


Sec-1.インストール及び最初の設定

インストール
 インストーラは Calamares を使っています。GUI インストーラで使いやすい優秀なインストーラです。
各種 DE を選べるのも、良好です。
今回のチェックはまず GNOME を入れて試し、その後 Xfce で試しました。
なお、printer を使うつもりなら、インストールの時に cups 関連だけでなく HP の印刷ツールも選択してインストールするようにします。両方ないとプリンタが動かせません。

最初の設定
*日本語入力
 ディストリによりますが、GNOMEでは大抵の場合 ibus 以外にうまく動きません。このディストリもそうです。
なので、フレームワークとして ibus 使ってるのを探します。みつかったのは ibus-kkc、ibus-anthy、ibus-skk の3つです。
ibus-kkc は前に CentOS で使って良い印象ではなかったです。変換効率がよくない。動作も一部不安定。
skk は使い方を知りません。なんだか、ネットの情報を見ているとタッチタイピングには全然対応できそうにありません。なので除外。
結果として残った anthy を使います。こっちは以前から Slackware で使っていて、悪い印象がありません。マアマア良いです。
例によって、設定変更して anthy を ATOK 風に使えるようにします。それは、Chap-27. Sec-6. に書いています。
なお、Xfce では fcitx-mozc が簡単に動きます。fcitx-mozc はキー割付をいじる必要がありません。なので使いやすい。

*GUIでのパッケージインストーラ
 デフォルトではありません。存在しません!
しかし、幸いなことに AUR にあります。yay ってコマンドも使えるので AUR から pamac がインストールできます。これはあったほうが便利ですね。

$ yay pamac

とするだけ。選択は1を選ぶだけで良さそうです。それで以下のような、見慣れた pamac が使えるようになります。

pamac

脱線ですが、同じようにして ibus-mozc を yay でインストールしてみました。うまく動きましたが、ずいぶんと時間がかかりました。インストール時間がやたらと長い!
こんな時間かけてまで ibus-mozc にこだわるつもりは無いですから、自分は(Endeav なら)ibus-anthy を使います。

 GUIのPamacは開発が止まっているとか、新しい仕組みに対応できていないとか、ネットでちらっと見かけました。
このため、上記のようにPamacをインストールして使い続けると、具合が悪くなるかもしれません。申し訳ないですが Endeavour を常用していないので、詳しくは調べていません。(2021-06-18)



Sec-2.UNIX マシンっぽく管理できるか

 チャプタを起こしてしまいました。が、書くことがありません。UNIX 風の管理のこと、各種ソフトのコンパイル・インストールのこと、全て Manjaro と特に変わりません。省略です。興味のある方は Manjaro のチャプタを見てください。全然、問題は無いです。




Sec-3.Windows 代替として

 デスクトップ利用で各種ソフトが使えるかってことですが、ここも基本的に Manjaro と変わりません。良好だと思います。記述は省略です。




Sec-4.Printer 設定

 スキャナ利用は Manjaro と変わりません。が、プリンタの設定が少しだけ違います。

プリンタを使うに際して、まず

# pacman -S postfix

とする必要があります。このパッケージが入ってないとプリンタが動きません。
なぜか、自分で Postfix をコンパイル・インストールしてもダメです。パッケージがとにかく必要です。
なお、この postfix は運用しなくても良いです。止めたままでかまいません。インストールしてあることが必要なだけです。

次に、プリンタドライバをコンパイル・インストールするところと、上書きで Debian のドライバを入れるところは同じです。Manjaro とまったく同じ。

印刷設定するところが違います。
Endeav では DE 付属の印刷設定ツールではなく、HP の印刷設定ツールを使った方がうまく行くと思います。

HPのツールを立ち上げると以下の画面。真ん中の cups web interface をクリックします。

prn-01

以下の画面になります。ここで Printers の Add Printer をクリックします。

prin-02

エプソンのドライバやら、PPDファイルがすでにインストールしてあるので、ちゃんと PX-048A 機種が出てきます。これをクリックして Continue を押します。

prin-03

次の画面になります。ここではやることがなくて単に Continue クリックです。

prin-04

なんだか沢山出てきました。一番上の PX-048A をクリックした後、Add Printer を押します。

prin-05

これで終了、設定が出来ました。

prin-06

試しに、DE の印刷設定で見ると、登録されてます。オケです。

prin-07

確か、設定の途中でユーザIDとパスワードを入力する画面が出ます。普通に Linux のログインのIDとパスワードを入れるだけです。(root でなく、自分、ユーザ)

これで、wifi 経由のプリンタ Epson-PX-048A がプリンタとしてもスキャナとしても使えるようになります。調子良いです。

もしもプリンタがうまく動かないときは、cups、cups-browsed の両デーモンが動いているかどうか、確認してください。
まれに、cups-browsed が動いていないことがあります。



Sec-5.全般の印象

 例の項目、(b)開発系やらネットワーク管理系、(c)Windows 代替利用、については Chap-21. Manjaro とそっくりなので、省略します。特に違いを感じません。

全体としての印象を書きます。
 Chap-26-2.でいうところのカテゴリー3(2の派生)です。このため、思いがけないセキュリティホール等が発見されたとしても、比較的早期に適切な対応が出来そうです。まずまずセキュアなディストリと言えます。
 次に、長所だとか特徴として感じたのは、いわゆる軽量級です。デフォルト状態ではメモリー使用量が 150MB から 200MB くらい、Manjaro より少ないと思います。
Manjaro でも、起動デーモンを調整すればメモリ使用量を減らせますが、Endeav よりは多めです。
なので、Endeav をノートパソコン等、メモリに制約がある中で使うなら、それなりにメリットがあると思います。
ただし言葉が「軽量級」だからといって、動きが特に軽やかなわけではありません。速度、レスポンスでは Manjaro と差は無いと思います。

 悪い方では、プリンタの設定が Manjaro よりひと手間かかる感じです。パッケージとして postfix を入れないとプリンタが動かないことに気がつくのに、少し時間がかかりました。
この点はマイナスだと思います。

更新が滞りなく順調にいくかどうか、長期的チェックはしていません。













Sec-6.フォントの追加

2021-07 追加
 このディストリをデフォルトで使い始めて最初に感じたことの一つに「フォントが綺麗じゃない」というのがあります。
英語で使っているときは感じませんが、日本語入力をしたり、ブラウザで日本語のサイトを見ると感じます。
これを解消するのに簡単な方法はフォントの追加です。
以前、Slackware のチャプタがあってフォント追加の方法を書いていましたが、よく考えたらチャプタを消してしまいました。
ちょうど良い機会なのでフォント追加について簡単にメモっておきます。


概ねポイントは以下のとおり。

簡単に書けばこれだけです。
IPA フォントはネットで検索すると割合と簡単にヒットします。そこからダウンロードします。私のは数年前に Slackware に入れるためにダウンロードしたものです。今回もそれを使いました。
ipam00303.zip、ipag00303.zip という2つのフォント、片方が明朝で片方がゴシックです。
unzip するとそれぞれ ipam.ttf、ipag.ttf ってファイルができます。これがTTFフォントのファイル本体なので、上記ディレクトリにコピーします。あとは # fc-cache -f ってするだけです。



フォントが入ったら、これを使う設定にします。やっているのは GNOME です。
gnome-tweaks からフォントをクリックすると次の画面です。

endeav-01

右の方にフォントを指定する箇所が4つあります。とりあえず、これを全部IPAフォントにしてみました。
リブートすると、確かに表示が綺麗になりました。次に Firefox です。フォントの箇所を開き、以下のようにしてみました。
(下3つがIPAフォント)
注:以下の画像では「ウェブページが指定したフォントを優先する」にチェックを入れていますが、実際にはチェックをはずしてます。

endeav-02

これで、Firefoxも表示が綺麗になりました。最後にX端末です。以下のようにしてみました。ipaフォントだと文字間が狭いので、広げています。(デフォルトは1.00です)

endeav-03

X端末も日本語表示が綺麗になりました。久しぶりにフォントインストールをやりました。


実際には EndeavourOS は使っていませんが、使うんだったらこんな風にフォントを変更したいと思います。