*使い方として、個人的にディストリを以下の3つの視点で見ています。( Chap-26. 参照)
*セキュリティ上の視点については「セキュリティやバグのフィックスをいつ誰がやっているか?」の視点で見ています。(Chap-26-2. 参照)
このディストリは基本的にサーバ利用は考えていないので、(a) の視点は対象外。
このため、(b) (c) の2つの視点で見ていきます。
Sec-1.インストール
Sec-2.日本語入力の設定
Sec-3.インストール後、最初に試すこと
Sec-4.Windows 代替(ATW)としての利用
Sec-5.全体を通しての印象
使うのは MX-25 で Debian-13 に対応した版です。お試しは AMD ryzen 3400G + A320 マザボ という構成です。グラフィックスは内蔵 GPU を使います。イーサネットはマザーボードの RTL を使います。
ハードウェアへの適合に優れていて、クセのあるノート PC でも大抵うまくインストール出来る優れもののインストーラだと思います。
インストール時間も短いです。
例によってインストール作業は省略です。
なお、今回は Sysvinit 版で試しました。
先般、なんのディストリか忘れましたが intel-1000CT に対して「このカードはサポート対象外だ」などとインストーラが表示しました。
インテルは資金難の様です。CLear linux もやめたし、もしかしたら古いカードのサポートも打ち切っているのかもしれません。
このため、geek 系ではイマイチ評判の良くない RTL のチップを利用しています。こっちはまだサポートされている様です。
ibus-mozc を入れました。
# apt install --install-recommends ibus-mozc
これでリブートすると日本語入力が出来ます。
ibus なのでキーのショートカット割付変更が不可避だと思います。やらないと使いづらい。やり方は chap-27. Sec-3. 参照です。
以下は、(b) 利用のときに使う事柄です。何も問題ありません。違いは /etc/rc.local が最初から使えるようになっていることくらいです。ほとんど Debian と同じなので説明省略です。
補足:
*デーモン管理は insserv コマンドもあります。が、このコマンドはディストリによって使い方に差があるようです。MXなら MX tool を使って管理したほうが楽そうです。
*シリアル回線の利用について。USB-RJケーブルを使ってシリアル回線を利用します。CU コマンドはハングアップします。一方で minicom だとうまく行きます。
Windows 代替(ATW)として使いやすいかどうか、ポイントだけ書いておきます。
プリンタ・スキャナ
我が家のプリンタ(Epson PX-048A)は壊れました。多分ノズルがおかしい。もう買い替える気も無いのでプリンタのお試しは無しです、汗。
スキャナ部分は問題なく使えます。wifi 経由でも USB 接続でも大丈夫です。
ブラウザ
なんせ Debian の派生なのでいろいろなブラウザが使えます。apt で入るし、flatpak 版も自在に入ります。コメントの必要すら無いと思います、笑。
メーラ
ここも Debian 派生らしくいろいろ使えます。柔軟に設定できるものだと evolution sylpheed くらいでしょうか。他にもいろいろあります。
オフィス
libreoffice が最初から入っていましたがメニューが英語表示でした。libreoffice-l10n-ja を入れればメニュー表示が日本語になります。
私は入れていませんが、 flatpak 版もあります。
画像ソフト
Debian 版でも flatpak 版でも Gimp が使えます。
vlc
vlc も Debian 版、flatpak 版が選べます。brasero もあります。
パッケージのアップデート・インストール
MXupdater でも apt update + apt upgrade でも問題なく更新出来ます。
新規パッケージインストールも GUI CUI どっちでも簡単です。
以上です。
このセクションは私の独断的、個人的な印象のみです。
*まず使い方の3つの視点から見た評価です。
a. の利用について・・・・・・・対象外
b. の利用について・・・・・・・基本的に良好です。
c. の利用について・・・・・・・基本的に良好です。。
*次にセキュリティー上の視点からの評価ですが、これは基本的に Debian-stable と同じ。とても優秀と考えられます。
*その他
・インストーラが扱いやすく Debianでうまくインストール出来ないノートパソコン等でも割合とインストールしやすい。
・プロプラ系に前向きで最初から使いやすい。ただし最近は Debian も nonfree-firmware を有効化していて使いやすくなっているので派生ディストリの優位性が少し薄れつつあります。
・MX は init に systemd、Sysvinit の両者が選べます。好みに応じて使い分け出来ます。
・MXのツール群がおそらく人気の一つの理由かと思います。ツール郡は使いやすいです。
余談:単なる私の感想
最近、cgroup と systemd について書かれた記事をいくつか読みました。
OSの上に仮想環境を利用してOSを入れる場合、プロセス管理は階層的になります。当然です。で、その仕組みとして cgroup と systemd が使われている・・・どれもそんな様な記事です。
読むと今どきのクラウドの世界・ビジネスの世界で cgroup と systemd がとても重要だということは十分理解できます。納得もします。
が、納得できないのは「それの利用を、1CPU で 1OS なユーザたちにまで強いている」という事です。
少し前も ssh 関連で悪意あるコードが埋め込まれ、Debian のリポで流れました。ちょっとした騒動になりました。
systemd があまりに手を広げすぎていたことに警鐘を鳴らしていた人たちは、こぞって「それ、見たことか」と感じたでしょう。私も同じ感覚でした。
わかりやすく cgroup と systemd について書かれた記事を読み、その有用性を知るにつれて、ますます「そんなん、1CPU,1OSのユーザに要らんやろ」という気持ちが強くなりました、笑。
なので以前にもまして「systemd は、ブートアップと最初の起動デーモン管理くらいにしてくれ。余計なことにまで手を出すな」と思います、笑。
数多あるディストリの半数くらいは、そんな1CPU,1OS ユーザ向けの版でいてもらいたいです。
あるいは Debian だったら、クラウド・仮想環境用に systemd フル利用で組み立てた版と、1CPUで1OSのユーザ向けに systemd 限定利用の版の2種類を出してもらいたい。
それを派生OSのMXに求めるのは酷です。本家がやるべき事、笑。
以前のチャプタは以下に保存しています。
一つ前 https://www.quinos.net/topich/topich.03.html 二つ前 https://www.quinos.net/topich/topich.02.html 三つ前 https://www.quinos.net/topich/topich.01.html